終の住処

高齢化社会、日本は2025年には65歳以上が30% 75歳以上が20%になるといわれています。その頃には65歳以上の

5人に1人は認知症(730万人)

と予測されています。つまり、仲の良い知り合いに1人は認知症になるという事です。

ここで問題なのが、せっかく多額の入居金を払って終身契約で入った優良老人ホームも認知症から発生するケガなどから、一方的に退去になる事例がある事を知らない方が多い。

Aさんは、入居時は問題なく過ごせていたのが、80代に突入するにあたり、認知機能が低下してある朝転倒した。痛みが激しくて起き上がれなく病院に搬送されたが診断は大腿骨頸部骨折。手術を受け成功はするのが認知症により自分自身が骨折をしている事を理解できず起き上がろうとしてしまう。
こういった場合は、あまり若い人は知らないかもしれないが病院では安全確保の為に拘束をしたうえでリハビリなどを行う。ここで上手く回復したとしても、引き継ぎ資料に”歩行時の見守りと軽介助が必要”と記載されるケースがある。

落とし穴なのは、24時間対応とうたっている施設であっても、イコール24時間の完全な見守りは難しい。その結果、再度同様に転倒→骨折のゴールデンパターンに陥っていく。身寄りがない方だと、リハビリ病院に転院した後、その先に入院できる病院や施設が見つかりにくい。老人保健施設を点々することもある。骨折からの回復がうまくいかなければ、死ぬまで拘束や鎮静をするような病院生活を余儀なくされることもある。

Bさんも、同様に骨折をして認知症から病院にいる間は拘束した上でのリハビリをうけていた、病院を退院する運びになった時に、Bさんのお孫さんは、拘束してでもいいので元の施設へ戻して欲しいと訴えた。背景には、Bさんの旦那さんがその施設にいるので一緒に過ごさせてあげたいという思いがあったのだろう。
拘束に関しては、職員の負担を鑑みての発言であったと思う。ところが、施設の管理者は、「ぜったいに拘束しません」と返した。施設の管理者は、可能な範囲で転倒した時でも骨折するようなリスクを回避する方法を考えた。「100%の安全はありませんし、明日転ぶリスクもある。けれど、本人が動きたいのであれば、ケガをするリスクを減らす方法を考えます。」Bさんのお孫さんも「リスクを踏まえても、拘束よりも本人の尊厳を大事にしたい」と承諾した。

本人の尊厳と自由を奪わない
Bさんは、床からの立ち上がりが難しい状況であったが、何かにつかまれば立ち上がれる。。施設の管理者は、「認知症であっても、転びそうになった時は、本能で何かにつかまる。本能を活かせるように、近くにつかまれるものがあればいい。同じ転倒でも、つかまって転倒した場合は衝撃も少ない。」と話した。

そこで部屋の動線に、福祉用具のポールを複数本たててみた。初めはポールにつかまりながらはう状況だったが、徐々にポールを伝って歩けるようになった。3か月後には歩行器で歩けるようになり半年で何も使用せずに歩いていた。今では90代なかばですが、歩けている。尻もちをつくことはあるが、ケガにいたる転倒はない。自分の意志で動けることが、最大のリハビリになった。拘束などの制限をする施設であればここまで回復しなかっただろう。施設の管理者は「管理より大切なものがある。メンタルの安定に勝るリハビリはない。」と語る。高齢になって骨折したら、寝たきりというのは決めつけなのかもしれない。

■認知症を発症してからも穏やかに暮らすため
施設によって、認知症を発症した対応に大きな違いがある。65歳以上の5人に1人は認知症になる近未来。施設や高齢者住宅を選ぶ際は、この点に注目する必要がある。まず実際に見学をし、「認知症を発症している人がいるか」

認知症を発症している人も穏やかに暮らしているか

話を聞くだけでなく自分自身で観察してほしい。また、入居者・スタッフとも会話した方がよい。入居者からは、どのようなスタッフがいるのか、スタッフからはなぜこの職についたのかなど。

われわれが高齢になった際に、穏やかに暮らせる環境を得るためには、お金だけではなく、その施設ので働いている人や方針に左右される部分が大きい。ぜひ、外側の情報だけ見て判断するのではなく、我々自身で事前にその施設にいる人を確認した上で、事前に計画していく事が必要である。